ナンパ男との恋~最終章~

「春菜?こんなとこで寝てると
風邪ひくぞ?」



「え?あ・・・え?寝てた?
ごめ・・」



輝樹の声で
夢から覚めたような感覚に陥っている。

考えながら横になっていたら
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。


そのまま、脱衣所の洗面台の前に行き
歯ブラシを口にくわえ
鏡の中の自分に、ふと目を向けると


・・・・やばい。


歯ブラシを口に咥えたまま
首筋の、赤いアザに
思わず動きが止まり
呆然としてしまっている。


どうにかしないと・・・

どうにか誤魔化さないと・・・



「春菜?どうした?」


いつまでも脱衣所から出てこない私を心配して
少し酔っ払った輝樹が様子を見に来た。


「ん?あ、歯磨きしてから
ベッドに行こうと思って」


近くにあったタオルを首にかけるように
赤いアザを覆うと

鏡越しに輝樹にそう言葉を発した。


「やけに時間かかってねぇか?」


本当・・・・

こんな時だけ
何で変に鋭いんだろう。


鏡越しで、輝樹が私の表情を覗うように
まっすぐと見ている。


「そう?もう終わるよ?」


強張った顔を誤魔化すように
笑いを浮かべ
水を勢い良く出した。