ナンパ男との恋~最終章~

スタンドの敷地内に入ると
1人の従業員らしき男が走り寄ってきた。


「いらっしゃいませー」


いや、燃料入れるようなもんねぇけど・・・・


「すいません、この辺に
パンケーキ屋とかありますかね?」


あー、すっげぇ恥ずかしい。


「へ・・?あー、自分じゃ分かんないんですけど
ちょっと待ってて下さい」



そう言うと、中へ入って行き

その男の代わりに
若い女が出てきた。



「こんにちわ」



爽やかな笑顔で。


そして、再び


「この辺にパンケーキ屋がありますかね?」


あーくそ、もう恥ずかしさも何もあったもんじゃねぇし。


「この一つ先にありますよ」


さすが、女は
この手の店に詳しい。


つーか、一つ先って
春ちゃんが間違ってんじゃんか。


「すいません、ありがとうございます」


「いえ、あそこ美味しいですよー」


「マジすか?早速行ってみます」


「フルーツのがおすすめです」


ここで聞いて正解だったな。

お礼を言いながら
その足で春ちゃんの元へ行くと

「一つ先だってさ」


「え?うそ?何だ、良かった~」


再び、春ちゃんに笑顔が戻った。


本当、単純そのものだ。