夕方、
玄関の開く音がし
廊下に出てみると


玄関の扉を半分開け
輝樹は体半分だけ中に入り
何やら振り返って
誰かと話しているようだ。


「輝樹?」



私の言葉に気づき、


「わりぃ、付いてきた・・・」



付いてきた?何が・・?


頭の中に疑問だけが残っている私に


ため息混じりに、そう言いながら
玄関の扉を大きく開けると、



「どォも。お邪魔します」


かなり上機嫌の様子の
さっきの時田くんという男性が
足元もおぼつかない様子で
玄関の柱で体のバランスを保つように手をやり
私に頭を下げた。


そして、


戸惑いながらも頭を下げる私を


「・・小動物みたい」



そう一言うつむき加減でつぶやきながら
バカにしたように笑い



「じゃ、お言葉に甘えて
失礼しまーす」


近所迷惑なほどの大きな声で
そう叫ぶと
靴を投げ捨てるように脱ぎ
ズカズカと中へと入ってきた。