「私ね、ずっと待ってるの。彼のことを。ここで、ずっと」

「ずっと?もしかしたらその彼は、どこか別の女性と戯れているかもしれないのに?」


つい、悪魔の本能として意地悪したくなったカルハは、言った直後に後悔する。

だが、彼女は顔色一つ変えることなくカルハを振り返った。


「もしそうだとしても私は、ここで彼を待ち続ける。信じてるから」

「…信じてる、ねえ」


嘘つき悪魔の私には、到底理解し難い。

首筋を掻きながら視線をステンドガラスに向ける。

視線はそのまま、カルハはまた口を開いた。

今度はなるべく、不快にさせないように。


「君を置いてどこかへ消えてしまった彼が、憎くはないのかい?女性を置いて姿を消す男なんて、と。一度も思ったことは?」


カルハの問いかけに、ウェディングの女性は静かに首を振る。