【短編】ing

クラスでよく見かける男の子だった。

「えっと………」

名前がわからない。
顔は知ってだけに、なんだか申し訳ない。



「もしかして、僕の名前わかんない?」

「ごめんなさいっ!」

ずばり言い当てられて、勢いよく謝った。


けどその人は優しくて、名前を知らないことを咎めたりはしなかった。

彼曰わく、
「松永さん、杉谷としか話さないから、わかんないのもムリないよ」

だそうです。


情けなくなった。


「僕、塚田耕士(つかだこうし)って言います。」


「松永貴絵(まつながきえ)です!」



クラス替え依頼の自己紹介。
もう、3ヶ月も同じクラスなのに名前も知らなかった。

私の自己紹介に塚田君は「知ってる」と微笑んだ。