「聞いたか?また鬼が町に現れたらしいぞ」 すれ違った2人の男たちが こそこそと話していた。 「あぁ、知ってる!けが人が20人近くいるらしいな。そのうち男女1人ずつ死んだとも聞いたぞ」 「あぁ、しかもその男女は夫婦らしいぞ」 「気の毒に…」 僕はその会話を耳にし 嫌な予感が働いた… まさかな… この世に夫婦なんてたくさんいる。 僕と母と父なわけがない。 けれど僕は嫌な予感ばかりが 頭をよぎって仕方なかった。 …どこなんだ! 母 父 どこにいるんだ!