「もう夕方というのに帰ってこなかったな…」 「なにか急用でもあったのよ…」 朝から置きっ放しのご馳走を 悲しそうに見つめ母は言った。 「母、朝から何も食べてないからお腹がすいた」 「そうね、先に食べてましょうか」 僕と母は冷えきった ご馳走を口へと運んだ。 母が作ったご馳走は 冷えきっても美味しかった。 でも父も一緒だったら もっと美味しかっただろう。 「母、美味しいよ」 「ありがとう」 切なそうな目をして笑う母。 僕はキュッと胸が締め付けられた。