先生と呼ばないで【完】




「や…」


「それ、一番聞きたかった言葉」


抱きしめる力がだんだん強くなっていく。


痩せたと思っていても、体は前と同じようにガッチリしていて逞しくて。


私の体をすっぽりと包んでくれている。


「八神くん、ここ人が通る…」


「いいよ別に。誰に見られたってかまわねー」


「そんな…」


八神くんの腕が、少し震えているように感じるのは気のせい?



「俺だってずっと忘れらんなかった。一度は小春ちゃんの事諦めなきゃなんねーのかなって思ってた。俺より松原先生の方が幸せにできんのかなって。でも…やっぱり無理だし。他の男なんかにぜってーやんねぇ。例え婚約してたって、奪うから」


「あ、待って八神くん…私、松原先生とは別れたの…」


「は!?」


私と京平は八神くんが休学してから、別れて別々に暮らし始めた。


でも気まずい別れ方ではなくて、京平は学校でも普通に接してくれている。


今でも八神くんのことを心配してくれているし。