先生と呼ばないで【完】



八神くんは何も言わず、スタスタ歩いていて。


私は何が起こったのかわからず、ただ引っ張られるままに歩いている。


「ねぇ八神くん!どこに行くの!?」


「先生…なんで来たの」


「え?」


「ステージから見えてたし」


八神くんは正面を向いたままこちらを見ない。


私がいるって気づいていたんだ…



「八神くんがどんな絵を描いたのか気になって…」


「それって教師としての義務で?それとも本当に見たかったから来たの?」


この質問…前にもされたことある。

確かクラブで、八神くんに『ほっといていいよ』って言われて、『ほっとけない』って言い返したんだよね。


あのときは一人の手のかかる生徒としか思ってなかった。


でも…今は違う。


「斉藤小春が見たがっていたの。だって…ずっと八神くんのこと忘れられなかったんだもの」



そう言った瞬間、手を引っ張られ私は八神くんの胸の中にいた。