先生と呼ばないで【完】


「うん…わかった。頑張ってね」


精一杯の笑顔を作った。
悲しいなんて気持ちを顔に出したらダメだ。八神くんは鋭いから、すぐ私の気持ちに気付くもの。

すると、八神くんの手が私の頬に触れた。


「小春ちゃん…ありがとう」



まただ…やっぱりさっきのは見間違えじゃない。

悲しげに笑うのはどうして?


次の瞬間、ギュッと抱きしめられた。
周りには沢山人がいて、こちらをチラチラ見ている。

でも、恥ずかしい気持ちなんてなかった。


もっと、もっと強く抱きしめてほしかった。


だけど、八神くんはすぐに私から離れた。


「こんなとこでごめん。…小春ちゃん嫌がって突き飛ばすだろうなって思ったんだけど」


先ほどの表情とは真逆の満面の笑みでそう言う。

「突き飛ばすわけ…ないでしょ…」


今までの私だったら突き飛ばしていかもしれない。
でも周りからどう見られようが、八神くんに抱きしめてて欲しかった。

こんなこと思うの、八神くんにだけだよ。