呪われた碧眼人形

「仲間割れしちゃったわね。」

佳奈がつぶやいた。

「どうしよう。私の自分勝手な行動でこんなことになっちゃった。」

紗央莉が悔いるように言った。

「仕方がないわ。この水の音は異常だもの。私たちはトイレで水の音を止めに行きましょう。」

佳奈がなだめるように言った。

二人は寄り添いながらトイレのほうへ歩いていった。

そしてトイレのドアの前で立ち止まった。

「開けるよ。」

「うん。」

佳奈がゆっくりとトイレのドアを開けた。

どういうわけかトイレの中はトイレットペーパーが散乱していた。

しかもトイレットペーパーはかなり湿っておりトイレの匂いも酷く激臭が漂っていた。

二人はトイレの洗面所を確認した。

やはり一ヵ所の蛇口から水が滴り落ちていた。

滴り落ちるはより心臓に響いていた。

意を決して佳奈が蛇口をひねった。

しかし、蛇口はびくともしなかった。

佳奈は紗央莉を、お願い蛇口をひねって、という感じで見つめた。

紗央莉が首を立てにふる。

佳奈も紗央莉もこの激臭の中で息を吸い込むようなことをしたくなかった。

だから出来るだけ喋らないようにしたのだ。

紗央莉も蛇口をひねるがびくともしなかった。

その瞬間だった。

他の蛇口からも一斉に水が滴り落ちてきた。

トイレが勝手に流れる音もした。

二人は恐くなって一目散に逃げ出した。