紗央莉の父もこの建物に入るのは久し振りでフレッドの在庫がある場所など覚えていない。

なんとか思いだしながら歩いていると階段にたどり着いた。

二階に物置があることを思いだし、階段を上ることにした。

階段も埃をかぶっており、滑りやすく、しかも手すりなんて持てるような状態ではなかった。

一歩一歩気をつけて階段を踏みしめていった。

しかし、半分を過ぎたところで紗央莉の父は足を踏み外し転がり落ちてしまった。

「大丈夫?」

紗央莉が声をかけた。

「腰をくじいてしまったようだ。二階の奥に物置があるからそこを探してみてくれないか。僕はしばらく休んでおく。」

「わかった。」

紗央莉はわかったとは答えたが内心とても不安だった。

紗央莉だけではなく他の二人も同じ気持ちだった。

頼りの大人がいなくなった今、この呪われた廃墟でフレッドを探しあてることは出来るのだろうか。

三人の緊張は増していった。