自動ドアはもはや機能していないため、力任せでドアをこじ開けた。

ドアを開けて最初に目にとびこんできたのが受付だった。

人のいない受付は殺風景だった。

廃墟内は重い空気が流れていた。

立っているだけで肩が凝りそうだった。

床は埃だらけでとても汚なかった。

「とりあえず、こっちだと思う。」

紗央莉の父がそう言って歩き出そうとした時だった。

バリンと物が割れる音が背後で響いた。

一行が振り替えると蛍光灯が割れて床に飛び散っていた。

蛍光灯が誰かにあたらなかったことが唯一の救いだ。

「もう帰ろうよ。」

紗央莉が弱音を吐いた。

「せっかくここまで来たんだから、さっさとフレッド見つけて呪い解いて帰ろうよ。」

佳奈が紗央莉を諭すも、佳奈自身も身体が震えていた。

ここでも呪いは続くのかと愛子は思った。

いや、ここだからこそ呪いが強いのではないかと思った。

ここで立ち止まっていても始まらないため、一行は紗央莉の父を先頭に歩き出した。