学校が休みであるとある日曜日に愛子、佳奈、紗央莉と紗央莉の父は山の中にあるおもちゃ会社ドリームトイの廃墟へ紗央莉の父の車の運転で向かった。

昼前に着いたはずだが、廃墟のまわりは異様に暗かった。

「なんか気味悪い」

紗央莉がつぶやいた。

愛子も廃墟が怖いという気持ちはあった。

しかし、ここでフレッドを見つけさえすればメアリーの呪いは終わると信じているため、愛子は廃墟潜入に意欲を燃やしていた。

「ここに来るのは久しぶりだな。」

紗央莉の父が言った。

「変なこと起きないよね？」

佳奈が不安そうに言った。

「昔、ここでたくさんの怪奇現象が起こったから変なことが起きないとは言いきれないな。」

紗央莉の父の言葉に女子三人は震え上がった。

「引き返すわけにはいかないよね？」

「今さら何言ってんのよ。」

「でも、やっぱり着いてくるんじゃなかったな。」

佳奈と紗央莉が小競り合いを始めた。

愛子は黙ってそれを見ていた。

メアリーに呪われて死に何度も死にかけたことを思うと廃墟潜入はそこまで怖くないはずだと
愛子は思っていた。

「何年も前のことだから正確には覚えてないけど、フレッドの在庫がどこかにあるはずだ。
とても危険だからみんな離れないで僕についてきてくれ。」

紗央莉の父はそう言うとドアに手をかけた。