「メアリーとフレッドは恋人の関係にあったからフレッドをメアリーがフレッドのために人を呪うようになったと考えられませんか。」

愛子は思わず自分の考えを口にしていた。

「なるほど。僕らがつくった設定とはいえ、人形には魂が宿るというからそうかもしれないね。」

紗央莉の父はうなずいて答えた。

愛子は紗央莉の父にさらに言った。

「メアリーとフレッドを会わせてあげたいのですが、フレッドはどこに行けばありますか。」

紗央莉の父はしばらく考えてから答えた。

「フレッドはきっとどこのお店でもおいてないだろうな。持ってる人も少ないだろう。ただ、
一ヵ所だけ可能性のある場所がある。」

「どこですか。」

「それがドリームトイの本社が昔あったところで建物は残っているが、廃墟と化している。しかもその建物は山の中にある。とっても危険な場所だ。そこなら大量に売れ残ったフレッドが昔と変わらないであるはずなんだが。」

「私そこに行ってフレッドを探してきます。」

愛子の決意は強かった。

もし、これでメアリーの呪いがおさまれば、多くの人が全国で救われるかもしれない。

それに犠牲になった香織のためにもこの呪いを
終わらせたかった。

もちろん、愛子がメアリーの呪いでビクビクしながら生活しないようにするためでもある。

「でも、とても危険でおっかないところだよ。」

紗央莉の父が愛子の身を案じて愛子が廃墟へ行くことを止めようとした。

愛子はすかさず反論した。

「私はメアリーの呪いで大事な親友を失いました。こんなに恐ろしい呪いはほっとけません。
それに私の親友だけではなく全国でたくさんの犠牲者が出ています。次の犠牲者、それは私かもしれない。とにかく多くの人の命が危ういのです。親友のためにも、犠牲になった人のためにも、私のためにも行かせてください。」

紗央莉の父は愛子の言葉に胸を打たれた。

「わかった。フレッドを探すのは僕も付き合おう。」