心臓が飛び出しそうなくらいの大音量で

愛子の間近にクラクションが鳴り響いた。

愛子がぎょっとして立ち止まると

目の前で急ブレーキをかけた車が止まった。

そして、運転席のまどが開いて

運転手と思われる人が窓から顔をだして

愛子に向かって叫んできた。

「お嬢ちゃん、大丈夫?」

「はい。大丈夫です。」

「なら、いいんだけど。ちゃんと前見て歩いてよ?」

運転手が顔を引っ込めると

車はさっそうと走り去っていった。

愛子は心臓のバクバクがおさまらなかった。