しかし、そこは天国ではなくもとの廃墟だった。

驚いたことに襲いかかってきたメアリーは皆、
刃物を落としてぐったりとうなだれていた。

「おかしいじゃないか。」

最初に追っかけてきたメアリーが叫んだ。

「どうなってるの?」

「お前を殺そうとすると謎のパワーが働く。このパワーはなぜか甘くて我々を弱らせてしまう。フレッドのようだ。」

愛子には意味が分からなかった。

「まるでお前はフレッドのようだ。特別な存在だ。」

特別な存在。

その言葉に愛子は聞き覚えがあった。

いつかの夢で愛子は西洋人形にお前は特別な存在だというようなことを言われたことがある。

「お前は殺せない。お前はフレッドに会わせてくれる気がするからだ。」

愛子はいつもギリギリのところで殺されなかった。

それはメアリーに愛子はフレッドに会わせてくれる特別な存在だったかららしい。