「最近、なにかと物騒だから、あんたも気をつけなさい。」

母からのいつもの注意。

「はいはい」

黒木愛子は怠そうに返事した。

愛子は高校1年生のれっきとした女子高生。

母が手をやく年ごろでもあろう。

母がなにかと娘のことが心配なのは

よく分かる。

しかし、母が心配しているのはもっと

大きなことだ。

世間を騒がせている奇怪な事件のことだった。