最凶の天使

「あなたは見えてるの?」

 隠れた場所で訊いてみる。

 真っ暗闇が見えるなんてどんな目をしているのだろう。

「見えないよ」

「え、マジで」

「さすがに俺は人間だし、師匠と一緒にしないでよ」

「じゃあどうやって歩いて──師匠って人は見えるの!?」

「月も出てるしぼんやりと見えるでしょ。動く前にある程度覚えておくの」

 師匠はもう色々と凄すぎてなんにも言えないよ。

 肩をすくめて答えたダグラスに、

「そ、そう……」としか返せない。

 そんなに色々と凄い人なんだ。

 幸子はその師匠という人がとても気になった。

 この男をどうしつけたのかが気になったし、師弟愛というものにも興味があった。

 不純な意味ではなく、師弟のある世界には多少なりとも興味を抱く。