「あちゃ・・・赤と青のリボンなくなっちゃった」


「え?あ、じゃあ僕買ってこようか?」


「ううん!この後は予約とかもないし、私が行ってくるよ!店番しといてくれたら嬉しいな」


「まかせて。でも花選んで下さいとか、おすすめとか聞かれたらどうしようもないんだよな・・・。あまり花には詳しくないし」


「太陽君すごくセンスいいから大丈夫!もしあまりにも不安だったら、レジのところに花ことばの本が置いてあるから、それ見てお客様におすすめとかするのもいいかも!」


「・・・分かった。ひながそう言うなら頑張るよ」


「じゃあお願いね♪いってきます!!」


「いってらっしゃい!」





私が太陽君に買い物に行ってもらわなかった理由。


それには訳があった。




ずっと前から太陽君専用のflour fairyという文字と妖精が花を持っている白黒のエプロンを服の仕立て屋さんに頼んであったから。


お母さんの入院が長引くという電話の前に、仕立て屋さんからも電話があってとりに行く時間を見計らっていた。




「太陽君、喜んでくれるといいな」


お店を出てからそう呟いた。

今日は綺麗な青空が広がっている。




・・・多分太陽君のことだから、お母さんが復活したとしてもお店を手伝ってくれると思う。


だったら、ちゃんとしたエプロンもつけてほしいっていうのが私の思い。



前私のエプロンを見て「いいね、これ。僕もほしいなぁ笑」って言っていたほんのさりげない一言を私は見逃してもなかったし。