「二人とも買い物行ってきてくれないー?」


一階の方からお母さんの声がした。

私はすぐに「はーい」と返事をする。



「ゲームは買い物から帰ってきてからだね」


太陽君の言葉に頷いたあと、ゲームを中断して急いで一階に降りた。


ちなみにゲームをしていた部屋は私の部屋。

太陽君が私の家に泊まるようになる前に掃除をしておいて良かったと心底思っている。



一緒の部屋で寝る事はできないけど、夜遅くまで太陽君はずっと私の部屋にいてくれる。



太陽君は私の部屋の向かい側に寝泊まりしている。


その部屋は昔お父さんが使っていた部屋だった。



お父さんがこの世を去ってから、生前のままにしてあった部屋をお母さんが「たーくんのためだから」と言って片づけてくれた。


申し訳なさそうに「ありがとうございます」と太陽君はお母さんに言っていた。


なんだか、本当に太陽君が私たちの家族に加わってくれたようで私は嬉しかった。





「お母さん何買いに行けばいいの?」


私たちは一階に降りてお母さんの姿を探しながら声をかける。


「お母さん?」


「お店の方じゃない?」


「ああ、そうかも!」




お店に続く廊下を抜け、顔を出してみた。




「ワン!」


「あっタロー!駄目だよお店の方に出ちゃ・・・!散歩に行くわけじゃないんだから」



そこにはタローとタローの傍で倒れているお母さんの姿があった。


「・・・え?お母さん?何。どうしたの!?」


私は慌ててお母さんに駆け寄った。


「ひな?」


私のあとを追って太陽君が顔を出す。

「太陽君・・・!お母さん、お母さんが!!」


「ひな。落ち着いて。とりあえず救急車を呼ぼう」


「・・・分かった!」