「いらっしゃいませ」


「清水さん久しぶり」


清水さんは私の声かけににっこりとほほ笑んだ。

そしてちらっと楓ちゃんの方を見て「ごゆっくり」と言って店の奥に入って行った。




いつも咲夜と一緒に座っていた席に楓ちゃんが率先的に座った。


少しだけドキッとしたけど気にしないことにした。



「ここのキャラメルイチゴケーキ絶品なんですよっ!」


「ふふっ。私も好きだよ」


「・・・やっぱり!」


「やっぱり?」


「前先生と来たときに教えてくれたんです。ひなたさんは何が好きで何を頼むのかって」


「・・・咲夜が?もうっ」


「ここに来るたびにいつもひなたさんの話ばっかりだったんですよ?」


「・・・彼女は楓ちゃんだったのに。ごめんね?ただの幼馴染が・・・それに咲夜は私を好きだったのは昔の話って言ってたの。今ならまだ楓ちゃんの気持ち伝えれば咲夜に届くと思うなぁ。だって、二人お似合いなんだもん」


「何言ってるんですか。私はもう吹っ切れてますよ。先生はただの憧れでした・・・。お似合いなのはひなたさんの方です」


「・・・」


「本当に先生の事なんとも思ってないんですか?」


「・・・思ってない」


「じゃあどうしてそんな顔してるんですか」


「そんな顔?」


「泣きそうな顔です」



私が泣きそうな顔?

なんで?


そんなわけない。



それはきっと太陽君とさっき別れてきたばかりで、ここをもうすぐ離れちゃうからだ。

きっとそう。