「何言ってんだよ。俺は君を傷つけたのに」


「死なないで、ください」


「・・・・・・あり・・・がとう」






丸岡さんは小さな声で私にそう言った。


そして一度私のお母さんに土下座をする。

涙を流しながら。



心の中で一体どんなことを言っているのだろうか。


私には分からない。




その後、丸岡さんは私の左手の薬指に指輪をはめてくれた。


弱々しく微笑みながら。








キラリと光る指輪。

全ての終わりを告げる合図のようにも思えた。









私は太陽君にはもうふさわしくない。




太陽君とも別れて、指輪も返そう。



丸岡さんの上着から少し香る香水。


それはさっきの行為を思い出させるものにもなった。





「さよなら、太陽君」



・・・そして、咲夜にももうどんな顔をして会えばいいのか分からない。


私は姿を消そう。

何もかもを捨てて。