「太陽は可愛い弟みたいな奴だった。復讐するために朝比奈財閥に近づいたのに・・・。あいつと関わってる時だけはそんなこと忘れてたよ」


「・・・」


「でも、死んだ父さんと母さんのためにも俺は復讐を実行した」


「・・・」


「俺の父さんを死に追いやった太陽の父親を過労死に見せかけて殺したのは俺だ」


「・・・え」


「どうやったのかは、君には残酷すぎて言えないんだけどね」


「・・・」


「俺、30になったら復讐を実行するって決めてたんだ。それが今年。・・・太陽を悲しませたくはなかったけど、やっぱり憎しみの方が大きかった。あの父親から生まれた子供なんだって思うと太陽自身を殺しかけたことも何度だってあった」


「私、は・・・」


「これで全部終わりだ。借金もあそこで秘書をやっていたおかげでなんとか返すこともできたし、もう心残りはない」


「・・・丸岡さん」


「君を深く傷つけてしまって本当にすまなかった」




丸岡さんは私を優しく抱きしめてくれた。


まるっきり悪い人ではない丸岡さん。

・・・私は泣いた。


もちろん純潔を奪われたことに対してもだったけど、丸岡さんの悲しみに触れたからでもあった。



きっとこれから丸岡さんは自分で死ぬつもりなんだろう。


私は丸岡さんを抱きしめ返し、呟いた。


「死なないで・・・」