ばっと振り返るが、そこには優しそうな紳士の笑みを浮かべる丸岡さん。 そして今にも泣き出しそうなひなたが立っていた。 「お仕事頑張って下さい」 にっこりとほほ笑む丸岡さんのその表情には、さっきのいやらしい笑みは微塵も感じさせなかった。 俺は最後に一礼して店を出た。 でも、これが間違いだった。 この時少しでもこの場に留まっていたとしたら、何か変わっていたのかもしれない。 嫌な予感は的中したんだ。 最悪なことに。