僕は一人だった。


家でも、学校でも。


家族は僕がいじめられてるなんて知りもしない。
むしろ朝比奈財閥のことしか頭にない。


学校はただ学習して、いじめられに行く所だった。






「お前何涼しい顔してんだよ!そういうとこマジうぜぇ」


「レギュラーとれたからっていい気になってんじゃねぇぞ!!」


「漫画の主人公かよ」


「きもちわりいんだよ!!」




自分を守れるのは自分だけ。




「太陽、お前は朝比奈財閥のためにいい中学に通わせてるんだ。部活ばかりに入り浸ってるんじゃないぞ。レギュラーとれたそうじゃないか、すごいが勉強をおろそかにはするなよ」


「太陽のファンって子がうちに来たんだけど、お茶を御馳走したわ。あの子なかなかの家の子よね。あんな子はどう?将来の朝比奈財閥にはうってつけの家柄だし・・・見た目もいいし。私は賛成よ」


「なんなんだこのテストの点数は!!98点?馬鹿いうな!100点しかとっては駄目だ!!俺はお前をこんな子に育てた覚えはない!!やはりあんな田舎に小学生卒業まで住まわせるんじゃなかった・・・」


「今日先生に呼び出しされたの。太陽がいじめにあってるかもしれない・・・だなんてそんなことあるはずないのにねぇ!馬鹿馬鹿しすぎて笑ってしまったわ。太陽は自分で自分を守れるもの。もしもいじめられてたとして、自分で解決しちゃうって分かってるから」




僕のことなんて本当はこれっぽっちも考えてない。






『よう太陽!』


「久しぶり咲夜!・・・ひなは元気?」


『ああ。元気すぎて振り回されっぱなしだよ』


「あははっ!ひなだったらやりかねないね!僕も咲夜を振りまわしたいなぁ」


『馬鹿言うなよ・・・。あー最近どうだ?学校』


「・・・うん。楽しいよ」


『そうか!ならいいんだ。俺は最近野球部に入ったんだよ。面倒だから美術部はいって幽霊になろうと思ってたのに園田がうるさくてさ』


「園田君かぁ!懐かしいなぁ。あの丸坊主の子だよね笑」


『そうそう・・・!うんざりだよあいつには。太陽は何部なんだよ』