あたしのトナカイくん

「なっなにそれっ、信じらんない!」

「あっはっは、効果てきめんだったな」

「ひ、ひどい! あたしが今日、一体どんな気持ちで……っ」



そこまで言って、ハッと口をつぐんだ。

おそるおそる戸波くんを見上げみると、やはり彼は、にやりと笑みを浮かべていて。



「なに、三多さん。どんな気持ちだったって?」

「し、知らない!」



なんとなくわかっているくせに、それでもわざとらしく訊ねてくる彼は、やっぱり少し性格に問題があると思う。

あたしはぷいっとそっぽを向き、さらには彼の胸元を押して、戸波くんの腕から抜け出そうと試みた。

だけども彼は、あたしを拘束する腕の力をさらに強めて。

思いっきり耳元にくちびるを寄せて、ささやく。



「ほら、素直に言いなよ。……柚月」

「……ッ、」



その、甘ったるい悪魔のささやきに。くらりと、眩暈がする。

彼の背中に腕をまわして、ぎゅっと上着を掴んだ。



「と、戸波くんのばか、意地悪……っ」

「ははっ、うん」

「……すきだよ、ばか……っ」



小さくそう言ったら、戸波くんの、あたしを抱きしめる腕の力がさらに強まって。



「……俺も。だいすき」



また、甘い甘い、言葉が降ってきた。