あたしのトナカイくん

「……三多さん、目赤いけど」

「──!」



バッ、と勢いよく、自分の両目を手のひらで隠す。

あたしはうつむいて、目元を覆い隠したまま、声をしぼり出した。



「えっ、と、コンタクトずれちゃったかな。あはは」

「嘘つけ。なんで隠してんの」

「や、ちょ、ちょっと……っ」



見られたくないのに、戸波くんはなぜかあたしの両手首を掴んで、顔から引き離そうとする。

あたしは必死で抵抗するけど、力の差は歴然で。あっさり、再び彼の前に顔を晒すことになった。



「……ッ、」



なんで、どうして。

どうして、あたしのことを放っておいてくれないの。

こんな顔、見られたくなかった。

元カノの存在に嫉妬して、後悔して、彼と同い年の子たちを羨んでる顔なんて、見られたくないのに。


泣くのを必死に堪えて、きっと、ものすごく不細工になってしまっているあたしの顔を見て。

なぜだか目の前の彼は、ふっと、やわらかい笑みを浮かべた。