あたしのトナカイくん

「え、なん、で……」

「………」



開いたドアのすぐ横の壁には、予想外に、私服の戸波くんが寄りかかっていた。

あたしは混乱して、だけどもとりあえず、ドアを後ろ手に閉める。

ちらりとあたしに視線を向けた彼は、ゆっくり、壁から背中を離した。



「なんで、って……いっつも、駅まで一緒に行ってんじゃん」



当たり前のようにそう言った戸波くんに、あたしは驚く。

たしかに、あたしたちはバイト終わりの時間が同じになれば、駅まで一緒に帰っていた。

……けど、今日は。



「え、で、でも……戸波くん、お友達のところに行くんじゃないの?」

「行かない。面倒くさいし」

「め、面倒くさいって……」



あっさり返した彼は、言いながら小さくため息を吐く。

そしてなぜだか、そのままじっと、あたしを見下ろしてきた。