沖田総司は恋をする

何も言わないまま、沖田さんと吉田は、腰の刀を抜いた。

その磨き抜かれた刃が、月明かりを反射して輝く。

…人殺しの道具だというのに、その光に心を奪われた。

今さっきまで囚われの身だったというのに、その光景から目を放せないでいた。

…隣に立つへきるさんも同様だった。

少し離れた場所で、向かい合う両者の姿を見ていた。





戦いは、突然始まった。

いつ動いたのかは、わからなかった。

気がつくと沖田さんと吉田の距離は縮まっていた。

両者の刃がぶつかり、鉄と鉄が打ち合う音が響く。

何度も。何度も。

それはまるで、事前に決められていたかのようなやり取り。

どちらが攻めていて、どちらが防いでいるのかさえわからない。

激しくも、華麗とさえ言えるほどの剣の応酬だった。

上下左右から自在に繰り出される斬撃は、まるで刀そのものが手の延長のようであり。

防ぐ刃もまた、目で追えないほどの速さの太刀筋を的確に捌いていた。

常人なら、既に何度その身を斬り刻まれているだろう。

それほどの刃のやり取りを、二人は事も無げにやってのけていた。