着替えを済ませると、厨(くりや。台所の事)らしき部屋に奈津美さんとへきるさんの姿があった。

西洋式の机…てぇぶる、というらしい…に、朝食が並べられている。

僕の朝食に、と準備してもらった白飯と味噌汁、海苔、焼き魚。

それと、これは奈津美さん達の朝食だろうか。

きつね色をした四角い板のような食べ物と、卵らしき料理。

それと、香ばしい香りの黒い飲み物…。

「トーストにスクランブルエッグ、コーヒーです」

奈津美さんが笑顔で言った。

「コーヒー…ああ、珈琲ですか」

それなら聞いた事がある。

「食べてみますか?」

へきるさんが、とぉすと、なるものを僕にすすめる。

「……」

恐る恐る一口大にちぎり、口に運んでみる。

パサパサとした、しかし歯ざわりのいい食感。

固くない煎餅のような感じだろうか。

「いかがですか?」

興味深げにへきるさんが僕を見る。

「…悪くは、ないと思います」

僕は答えた。

だが…やはり日本人の朝は白米だと思う。