惣介さんのオススメだというお店でランチを食べてお腹いっぱいになった私たちは、再び、車に乗り込んだ。

今回はさっきみたいなへまはやらかさなかった。

かちゃ、かちゃっと、二人がシートベルトを閉める音が車内に響く。


「さっきの場所も良かったですけど、どちらかと言えば、今から行く場所が俺としてはメインなんです」


惣介さんは車を運転し始める。


「?どこに行くんですか?」

「それはヒミツです」

「またヒミツですかー?惣介さんって秘密主義者ですよね」

「そんなことないですよ?知らないでいた方が楽しさも倍増するものでしょう?」

「確かに……、その通りですけど」


「でも、気になります」とちょっとだけ拗ねたような声を出すと。


「……わかりました。ヒントです。真っ昼間ですけど、神秘的な場所です」

「……神秘的?……水族館とか……あ、プラネタリウムとか!」

「それもいいですね。いつか行きましょう。でも、今日は違います」

「……うーん……わかりません」

「まぁ、当てたら凄いですね」

「珍しい場所なんですか?」

「……そうですね。ある意味」


どういう意味?と首を傾げるけど、車の運転を始めてしまった惣介さんの口からはそれ以上のヒントも答えも出ることはなかった。

でも、私の中に生まれるのは教えてもらえないイラつきなんかではなく、やっぱり楽しみのワクワクだった。