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一度気付いてしまった気持ちが膨らむのはあっという間。

でも、恋愛からあまりにも長い間遠ざかっていた私は、無駄なくらい意識してしまって、どうしていいのかわからなかった。

……完全な空回りってやつだ。

惣介さんがすぐ隣にいるというだけで、私の心臓はバクバクと暴れだす。

その心臓の音が自分の中で大きく鳴り響いていて、惣介さんに聞こえてしまわないかと、さらに鼓動の速さが増す気がして、気が気じゃなかった。


「琴音さんはどうしますか?」

「えっ?な、何がですかっ!?」

「……聞いてなかったんですか?これですよ」

「!!!」


何か文字が書かれたものを目の前に出してくれるけど、一緒に惣介さんの顔が私に近付いてきて、それに驚いてしまった私は惣介さんを避けるようにざっと後ずさってしまう。

はっと顔を上げて惣介さんを見ると、私のことをじっと見ていた。


「……琴音さん?」

「ごっ、ごめんなさいっ!」

「……いえ」


……ど、どうしよう……!

絶対おかしいって思われてる……!

意識してしまえば最後。

……普通にできない。

そんなんじゃダメだ!普通にしなきゃ!と思えば思うほど。

……普通にできない。