「ずっとここに居るわけじゃないしっ、だからっ…!!」

「じゃあずっとここに居ればいいだろ」

「何で…っ」


何で今日会ったばかりなのに優しくしてくれるの。


今までどうりあの家で我慢できるはずなのに


どうして


言葉が出てこないの。


「彩夏、居場所ねーんならここに帰って来い」


「-…ッ!」


陸は優しく言い、そして私の頭を撫でるような

手を置いた。



肩を並べて歩く道

誰かと話す緩やかな時間

慣れない名前呼び

私へのプレゼント

私だけのマグカップ


全部、


はじめてだった。


この人に会って数時間。


その間、ずっと感じていた。


“あたたかい”