【陸side】 頭を駆け巡った記憶は養護施設にはいった頃の ものだった。 両親を亡くした俺の心は“我慢”という文字で 溢れていた。 若くしてこの養護施設の母をしている女性は 俺に話しかけて来た。 「こら!君っ何で泣かないの!」 「は?」 その人の発言が不思議で仕方なかった。 「お父さんとお母さんのお葬式の日も泣かなかったんでしょ?」 俺は静かにこう言った。 「泣いたらお父さんとお母さんが悲しむから。」 だから俺は泣かない。 だから我慢するんだ。