【完】泣き顔スマイル




ゴトン、ゴトン、という音と
共に下に落ちるそれを拾う。


「はいっ」

「ありがと」


受け取る修ちゃんの鼻や頬は赤くて。

触れたらどれだけ冷たいんだろう、とぼんやり思った。


それは出来ないと
知っているけれど。


手で缶を包みながら

10分ほど歩くと駅前が見えてきた。



「わあ〜、人すごいね」

「こっち」

「え。道それちゃうの?」



このまま真っ直ぐ行けば、目的のイルミネーションがあるのに。


修ちゃんは何やら
人影のない奥道へと歩いていく。



細道を過ぎ、住宅街を歩き、目の前に現れた階段をせっせっと上っていく。


はあ、はあ。

イルミネーションを見るっていう目的はどこへ行ったのやら。