ソファーに体育座りをし、暫し沈黙を決めていると、乃愛ちゃんもカップをソッとテーブルに置いた。



「ねえ、モモ」


沈黙が入り混じった空気の中

乃愛ちゃんの声が緩和する。


「言おうか迷ったんだけどね。

あの日先輩にモモが風邪引いたこと伝えたらね、先輩一目散に店長のところ行ったんだよ」


「…」


「『早退させて下さい』って言っててビックリした。知っていて貰いたくて話しただけなんだけど」

「…あはは」


遠慮がちに笑う私に反して

乃愛ちゃんは柔和な笑みを浮かべる。



「でもモモだもんね。
先輩だってそりゃ必死になるよ」



引きつった笑みが顔から消えた。

そんなことないよ、乃愛ちゃん。

違うよ全然。