パラパラとページをめくる。
ーピコンピコンー
「、」
活字を流すように見ていたら、突然テーブルの上に置かれているスマホが音を主張した。
「…っ」
手が止まった。
音も止まった。
すぅ、と息を呑むように開く口。
「…しゅ、うちゃん。起きなよいい加減。じゃなきゃ私上に乗っちゃうからね」
「……ん」
僅かに反応するように漏れた声が、私の胸をくすぶる。可愛い寝顔しおって!
「もーう! 修ちゃんまだあ?」
一向に起きる気配を見せない修ちゃんに痺れを切らし、私は手にしていた本を再び床に置いた。
そうして寝ている彼の上に
うつ伏せになるように被さる。
「……まる……重い」
「お母さんがね
おつかい行ってきてだって〜」
「…は? てかお前また勝手に……重い」
「ちゃんと葉子ちゃんの許可取ったもん! 熊本に行ってる間修のことよろしくねって言いながら鍵渡してくれたよ〜」
「……まじか」
布団から顔を出す修ちゃん
「っ」
顔と顔の近さに思わずビクッとした。