「でも、今は違う」 キュッとダッフルコートを掴まれる。 美香さんの匂いが鼻腔をくすぐった。 「私は社会人だけど、修も立派な大学生だし、私今なら恥ずかしさもなく修と付き合っていける」 美香さんのこと、綺麗さっぱり忘れていたといえば嘘になる。 初恋はこの人だったし 好きだと伝え、想いを確かめ合ったときの感情は今まで味わったことのない高ぶりだった。 恋を教えてくれたのは 紛れもなく目の前のこの人だった。