今更だけど、髪型も服もメイクもあのときと別人の美香さんは、知ってるのに知らない人のようで。 隣を歩くのが落ち着かなかった。 「今日どうしても会いたかった。 会って、謝りたかった」 「…」 「家庭教師を辞めるって言ったとき、修は『付き合ってることがバレたから?』って訊いたじゃない? そうじゃないの。 私が修に本気になりそうで 怖かったから、逃げたの」 冬空の下 口から漏れる白い息が煙のようだった。