その時だった。

僕のジャージを柊が引っ張る。

僕は下を向き、柊の目を見た。


「ち、ちょい(ちょっと)……み、見て……」


柊はVの字の部分を引っ張り、緩やかな丘陵を僕に見せた。

僕は驚いたが、今度は目を逸らすことが出来なかった。

いや、引き寄せられていた。


「む、胸元にホクロのあるとも、じ、情の厚か証拠て……き、九州の女は情に厚かとよ……」


そう言った柊の顔は明らかに無理をしていた。

小刻みに震える白い指がそれを物語る。

僕はこれを官能的で誘惑する行為には思えなかった。

きっと誠意だ。

そして、年上としてみせる、精一杯の強がりだ。