「でね、オジサンは2階から降りてきたんだ……。何かおかしい、人の気配がする、そんな気がする時あるだろ? でね、風呂場に行ったんだ。そしたら……」

「そいで、どがんなったとですか?(それで、どうなったんですか?」

「風呂の蓋が閉まってたんだ。ウチでは湿気を逃がすために、必ず水を抜いて、風呂の蓋はいつも外してたんだ。だけどね……」



本当は、マサハルさんはいつも、風呂の蓋を閉め忘れていた。

ばあちゃん(マサハルさんの母親)がそう怒って言っていた。

ちなみに今でも閉め忘れて、僕とハナからも怒られている。



「その日に限って、閉まってたんだ。オジサンはおかしいと思って、風呂に近づいた……」

「うん、うん、そいで? そいで?」

「風呂の蓋は完全に閉まってなくて、隙間からね、赤い色が見えたんだ……」