「ちょー(ちょっと)せんでて言いよろ? ウチ、ここ押されるっと、力の抜けると」

「はい?」

「力抜けん? ここ押さるっと(押されると)」


柊はそう言いながら、一生懸命、僕のつむじを押そうと、その場でぴょんぴょん跳ねた。

僕はお辞儀をするような姿勢になり、柊につむじを差し出してみる。


「……なんかムカツク」

「はい?」

「ウチがチビやけん、そがんしたと?(そうしたの)」

「いや、なんとなく」

「あ……やっぱいムカツク!」


真っ赤な顔をして、「押させろ」と、しつこく僕のつむじを付け狙う柊を見てると、ツトムが言ったような難しい性格ではなく、逆に単純で、子供っぽく、かわいいとさえ思った。

顔も、少し釣り目の上に、目じりの上がったフレームのせいでキツク見えるが、さっきフレームがずれたときに見た柊の目は、すごく優しそうに感じた。