「お兄ちゃん……?」 戻ってきたハナが僕の顔を覗き込む。 僕は最後に見せるのが泣き顔になるのだけは避けようと、無理矢理笑顔を作った。 「うおっ!」 ハナがおどけてマサハルさんの真似をする。 「うおっ!」 僕も続ける。 もう少しで春になる。 まだまだ風は冷たいが、林の向こうに見え始めた太陽は、ぽかぽかと僕らを春の気分にさせた。 〈了〉