マサハルさん



「ハナ、ホウレンソウは体にいいからね」

「うん」

「納豆はネバネバがいいんだよ」

「わかってる」

「黄色いバッグ、カワイイよ?」

「え〜」

「ハナ……」

「お兄ちゃん、シズカさんみたい」


そう言って僕の言葉を遮ったハナは、友達を見つけ、僕の手を離れて駆けて行く。

大きくなったが、まだまだ小さな背中。

僕に縋って、僕を頼ってきた背中。

もう見れなくなる。

もう手を差し伸べてやれなくなる。

そう思うと、急に悲しくなった。