「アキラ! ハナちゃん!」 柊が走ってくる。 赤いセルフレームを揺らしながら、満面の笑みで駆けて来る。 僕は走り出しそうな、いや実際に走りかけてたハナの襟を掴んだまま、しゃがんで柊が来るのを待った。 「ハナちゃん、ぎゅーってして!」 柊とハナは抱き合っている。 ちょっとだけ、いや、だいぶうらやましい。 「アキラ!」 柊が手を広げてくる。 懐かしい顔。 久しぶりの笑顔。 柔らかい腕。 小さな体。 僕は思わず目を瞑る。 そして、体で心で柊を受け止めるために、手を広げた。