「ひいちゃん……元気かな……?」 気づくと、ハナが薄っすらと目を開けていた。 ハナには柊に会いに行く、としか伝えていない。 もしも、変わり果てたシズカさんを見、さらには引き離して、家に連れ帰る術を僕は知らないからだ。 「うん、元気みたいだよ。『バッテン(方言で「でも」の意味)、バッテン』言ってたよ」 僕がそう言うと、ハナは体の前でバツ印を小さな指で作って、おどけて見せた。 「柊といっぱい遊ぶためにも、今、寝ときな。ちゃんと起こしてやるから」 「うん」