「アチラ? どうしたの?」 ぼんやりと神崎さんの事を考えていた僕をハナが見上げていた。 「ん? どうもしてないよ」 僕はそう答えながら、ハナのチョコレートをひとつ貰い、口に放る。 「ねえ、アチラ。まだ、着かないの?」 「うん、そうだねえ……もうちょっと掛かるかな?」 「ふーん」 「ハナ、寝てていいよ」 僕がそう言うと、ハナは僕の膝に頭を乗せた。 そして、座席に横になったと思うと、すぐに寝息を立て始める。 意外に疲れていたのかもしれない。 昨日は、なかなか眠れなかったみたいだ。