春になり、ハナのブラウスの袖上げをほどいた。

入園前、家を出る前に、シズカさんがしておいてくれた部分だ。

ハナの、シズカさんに似たほっそりとした体型は、いつのまにか腕だけがにょっきりと伸び、用水路を覗き込む背中も心なしかしっかりとしてきたように感じる。

だが、「アチラ! ほら!」と、僕の苦手なカエルを、田んぼに手を突っ込み、嬉しそうに掴みあげるその顔は、まだまだ幼児の面影が残っていた。