まだ、シズカさんが家にいた頃、ハナはよく絵本を読んでもらっていた。
僕自身もシズカさんの影響で、いまだに本は読んでいる。
その、読んでもらっていた本の中に、ハナの特にお気に入りの本があった。
犬の親子の話。
母親犬が、ワガママな子犬を困らせるために、子犬の前から姿を消すという筋だ。
いたずらを叱責された子犬が、「お母さんなんかいなくなってしまえ!」と叫び、それを聞いた母親は姿を隠す。
最初は強がる子犬も、すぐに心細くなり、母親を探し始める。
町の人(動物)の助けを借り、困難を克服し、最後は母親と再会し、ワガママも直るという話だ。



